一般によくいわれる「赤字」と言う状態がB/Sにはどのように表れるのかを知っておきましょう。赤字とは株主(自己)資本が減ることです。それが累積し、剰余金、資本金などを動員しても累積赤字に追いつかない状態を「債務超過」と呼びます。
◆利益と株主(自己)資本は密接な関係がある
利益が出ると株主(自己)資本が増えることはこれまでの解説でお分かりいただけたと思います。当期利益が剰余金にプラスされるわけですから、株式を発行して資本金を増やさなくても、株主(自己)資本の総額は多くなります。
では、赤字が出るとB/Sはどのように変わるのでしょうか。
例えば300の赤字が出ると、これまで一所懸命利益を出して積み立ててきた剰余金が赤字の分だけ減少します。だから株主(自己)資本が減少するのです。一方B/Sの左側はどうなるかというと、赤字分を現金の減少や資産の売却でまかなった場合は、その分資産が減りますから、剰余金の減少分とバランスするわけです。売却する資産もなく借入金(負債)で赤字分を補填したような場合は剰余金が減少した分負債が増え、総資本は変わらなくとも負債と資本の構成割合が変化します。
(注)平成18年5月新しい「会社法」がスタートし、貸借対照表の「資本の部」が「純資産の部」になるなど、表示内容が一部変更されています。本文は旧表示で解説しています。
◆資本金を動員しても累積赤字に追いつかない「債務超過」
さらに赤字が出続けるとどうなるのでしょうか。これまで積み立ててきた剰余金どころか資本金まで動員しても累積赤字に追いつかなくなったら会社はどうなるのでしょう。このような場合でも、赤字によって足りなくなった資金をどんどん貸してくれる銀行が、もしあれば会社は潰れることはありません。借りたお金で支払いをし、足りなくなったらさらにお金を借りて支払いに回していけばいいのですから。しかし、そのような会社は、一見普通に会社の建物や商品在庫が存在していたとしても、それらを取得する際に自分が出した金額に相当する部分はもはやすべて赤字で失い、借金でそれを補っている状態ですから、事実上自分の持分はないわけです。仮にここで事業を廃業し清算したら、資産を全部換金して借金返済に充てても足りず差額の借金だけが残ります。これが「債務超過」と呼ばれる状態なのです。
債務超過は、経営が極めて悪いことを示しているといえ、証券取引市場では「債務超過となった場合において、1か年以内に債務超過の状態でなくならなかったときは上場を廃止する」旨定めているところも多くあります。
2006年09月08日
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